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いびきは病気?

日本人の場合、いびきを習慣的にかいている人は男性で21% 、女性で6% を占めるというデータがあります。つまり、男性は5人に1人の割合で毎日いびきをかいていることになります。
はたしてそのいびきは、心配のないいびきでしょうか、それとも治療を必要とするいびきなのでしょうか。たとえ睡眠時無呼吸症候群などの問題を抱えていなくても、いびきは「騒音問題」をはらんでいることは周知のとおりです。
そして周囲が迷惑し、それを本人が気にかけていて、社会生活を営む上で何らかの支障をきたしているならば、いびきは治療の対象となります。「たかがいびき」と思われてとりあってくれないのでは?などと考えず、まずは専門医に相談してみてください。

これまでは、「単なるいびき」の治療に関しては、学会などでもあまり取り上げられなかつたのは事実です。しかし専門医はいま、こうした「単なるいびき」もまた、ある意味では病気としてとらえるようになってきています。

それは次のような理由からです。

いびきをかくということ自体が、すやすやと寝息を立てて眠っている人に比べると、程度の差こそあれ、上気道が狭窄していることを意味します。
ということは、いますぐに体に悪影響はなくても、将来的に健康の障害となる可能性は否定できないのです。

こんな調査があります。40歳から69歳までの男女を対象にいびきについて調査したところ、毎日いびきをかく人は、まったくいびきをかかない人に比べて高血圧の頻度は男性で1.9倍、女性で3.2倍多くなるというのです。
また、狭心症は男性で2.2倍も多くなっています。あなたのいびきは大丈夫ですか?

いびき音の分類

いびきの音が高いか低いかも、重要なポイントになります。専門的にいうと、いびきは大きく「振動型いびき」と「狭窄型いびき」に分類されます。

いびきの音が低ければ「振動型のいびき」、高い音であれば「狭窄型のいびき」といえます。「振動型いびき」は軟口蓋などが振動の原因になっているもので、

いびきをかく人のほとんどはこの振動型に当てはまります。振動型いびきの音は、基本周波数が150ヘルツ以下と低いのが特徴です。

「狭窄型いびき」は、舌根沈下や口蓋扁桃肥大などによって狭まったた気道を空気が無理に通過しょうとして起こるものです。
こちらのほうは、いびきの音がかなり高くなります(基本周波数400~500ヘルツ)

上咽頭

咽頭扁桃(アデノイド)の肥大による狭窄いびき

子どもによくみられるいびきです。口蓋扁桃が肥大して起こる狭窄いびきと合併して起こることがよくあります。起きているときの呼吸でも、咽頭扁桃が肥大しているために上咽頭のすき間はきわめて狭くなっています。そのすき間を空気がむりやり通るために狭窄音が起こります。呼気時には狭窄はなくなります。

中咽頭

軟口蓋が振動して起こるいびき

大人では最もふつうにみられるいびきです。このいびきをかく人は、後口蓋垂(のどちんこ)が長く、後口蓋弓の幅が広くなっているのが特徴です。
吸気にともなって軟口蓋と咽頭側壁が気道の中央へ引き寄せられて軟口蓋が振動し、いびきが起こりはじめます。

口蓋扁桃の肥大による狭窄いびき

吸気とともに両側の口蓋扁桃が気道中央に引き寄せられて、空気がここを通過する際に狭窄音が起こります。呼気のときは、狭窄が解除されるのでいびきは起こりません。このタイプで口蓋垂が長い人の場合、両側の扁桃の間に口蓋垂がはまりこんで閉塞性の無呼吸が起こることがあります。

舌根の沈下による狭窄いびき

舌が肥厚している人や下あごが小さい人にみられるいびきのタイプです。睡眠中、吸気のときに舌根部が吸い込まれ、気道が狭窄していびきが起こります。
呼気のときは舌根が押し上げられるためいびきは起こりません。このタイプの人で、症状が著しい場合は、閉塞性無呼吸を起こすので注意が必要です。そのほか、喉頭部にある喉頭蓋や披裂部、声帯の振動が原因となって起こるいびきもまれながらあります。いびきが実にさまざまな部位によって起こることに驚かれた方もいるのではありませんか。たかがいびきといえども、奥はずっと深いのです。

危ないいびきの兆候

いびきは自覚症状がないので厄介だといいましたが、いびきで悩んでいる人はまず自分がどんないびきをかいているかを知っておくことが大切です。
家族から話を聞いたり、一人暮らしの人なら自分のいびきをテープに録音してみるのもいいでしょう。いびきの音は、危険ないびきかどうかを判断する重要な情報源なのです。もしあなたのいびきが次のようであれば、注意を要します。

大いびきや聞きづらいいびき

いままでいびきをかかなかった人が急にいびきをかくようになったり、いびきのかきかた(音) が変わったたりした場合は、体が変調をきたしていることを意味します。

子どもで大いびきをかく

小学生以下の子どもが習慣的にいびきをかく場合、体のどこかに病気があることが多いものです。考えられるのは、アデノイドや口蓋扁桃肥大、鼻炎がいびきの原因ではないかということ。
鼻をたらす、口をぽかんと開けている、歯並びが悪い、鼻づまり、聞こえが悪い、偏食、夜尿癖があるなどは、いずれもいびきの原因と関係が深いとされています。

呼暇速度の早い、せわしいいぴき

眠っているときの呼吸回数は、呼気と吸気を1セットとして、大人で1分間に15回くらいが平均です。子どもの平均は20~25回です。
これを越えるようなせわしない呼吸は、上気道に何らかの障害があることが考えられます。こうした呼吸速度の早さをともなったいびきは、朝、目覚めたときに非常に疲労感が残ります。

往復いびき

いびきが往復で起きるのか、呼気時・吸気時に起きるのかを聞き分けることは大切なポイントです。一般にいびきは吸気時に起きることが多く、往復のいびきの場合は、なにかの疾患をともなつていることが考えられるので注意が必要です。

音がときどき止まるいびき

ついさっきまで大いびきをかいていたかと思うと突然やみ、しばらくして急に爆発するような大きな音でいびきが再開します。いびきがやんでいるあいだは呼吸が止まっており、典型的な睡眠時無呼吸症候群の場合のいびきの典型的なパターンです。