危ないいびきの兆候

いびきは自覚症状がないので厄介だといいましたが、いびきで悩んでいる人はまず自分がどんないびきをかいているかを知っておくことが大切です。
家族から話を聞いたり、一人暮らしの人なら自分のいびきをテープに録音してみるのもいいでしょう。いびきの音は、危険ないびきかどうかを判断する重要な情報源なのです。もしあなたのいびきが次のようであれば、注意を要します。

大いびきや聞きづらいいびき

いままでいびきをかかなかった人が急にいびきをかくようになったり、いびきのかきかた(音) が変わったたりした場合は、体が変調をきたしていることを意味します。

子どもで大いびきをかく

小学生以下の子どもが習慣的にいびきをかく場合、体のどこかに病気があることが多いものです。考えられるのは、アデノイドや口蓋扁桃肥大、鼻炎がいびきの原因ではないかということ。
鼻をたらす、口をぽかんと開けている、歯並びが悪い、鼻づまり、聞こえが悪い、偏食、夜尿癖があるなどは、いずれもいびきの原因と関係が深いとされています。

呼暇速度の早い、せわしいいぴき

眠っているときの呼吸回数は、呼気と吸気を1セットとして、大人で1分間に15回くらいが平均です。子どもの平均は20~25回です。
これを越えるようなせわしない呼吸は、上気道に何らかの障害があることが考えられます。こうした呼吸速度の早さをともなったいびきは、朝、目覚めたときに非常に疲労感が残ります。

往復いびき

いびきが往復で起きるのか、呼気時・吸気時に起きるのかを聞き分けることは大切なポイントです。一般にいびきは吸気時に起きることが多く、往復のいびきの場合は、なにかの疾患をともなつていることが考えられるので注意が必要です。

音がときどき止まるいびき

ついさっきまで大いびきをかいていたかと思うと突然やみ、しばらくして急に爆発するような大きな音でいびきが再開します。いびきがやんでいるあいだは呼吸が止まっており、典型的な睡眠時無呼吸症候群の場合のいびきの典型的なパターンです。

いびきの要因

いびきをかきやすい人

ここまでは「いびきをあなどってはいけません、いびきは体が発している警告なのです」という話をしてきました。しかし「自分のいびきに注意しなさい」といっても、自分がいびきをかいているのかどうか、また、どんないびきをかいているかは、人から指摘されない限りわかりません。
この「自覚症状がない」ということが、いびきの厄介なところです。一般に、いびきをかきやすいといわれている人のタイプがあります。まずその外観的な特徴があります。

太っている人や首が太く短い人

太っている人は首も太く、一見、空気の通りがよさそうに思われがちです。けれども太ぜいにくっつている人は上気道の内側、軟口蓋や咽頭壁などにも贅肉がついているため、気道が狭ふさまっているのです。
舌も肥厚してのどを塞いでいるようなケースも多く見られます。にもかかわらず太っている人ほど、体は多くの酸素を必要とするので、たくさん空気を吸い込もうとします。すると気道抵抗が大きくなりますから、いびきをかきやすくなります。
肥満が原因で大いびきをかく人の場合、ダイエットをすることによっていびきはかなり改善されます。

下あごが後退している、下あごが小さい人

舌にはそれを支える大きな柱がないため、仰向けに寝ると落ち込んでしまい、それが気道を狭くさせてしまいます。下あごが小さく、また後退している人は、舌を支えているスぜつこんちんかペースも小さいために舌根沈下が起こりやすくなります。また下あごが小さい人は、歯並びやかみ合わせが悪いことが多いので、そういう人もいびきをかきやすいタイプと思ってください。

鼻筋が広くだんご鼻の人、鼻筋が曲がっている人

呼吸の際の空気の取り入れ口である鼻の通りが悪いと、いびきをかきやすくなります。鼻筋が曲がつている鼻中隔湾曲症の人や、鼻が低くだんご鼻の人などは、鼻腔の部分で強い抵抗が起こり、鼻翼が振動して、いわゆる鼻いびきをかきやすいといえます。とくに鼻中隔湾曲症の人は、鼻づまりによる呼吸障害や喚覚障害を起こしやすいので、耳鼻科などで相談するといいでしょう。

口蓋垂が長い人

のどのかたち(軟口蓋の構造)も、いびきをかきやすいかどうかに大きく関係してきます。軟口蓋は中央部に垂れ下がった口蓋垂(のどちんこ) と左右の前後口蓋弓とで構成されています。口蓋垂が舌につくほど長い人や、左右の口蓋弓の距離が短く咽頭狭窄を起こしている人はいびきをかきやすくなります。

あごを引いた姿勢や手を上げて寝る人

あごを引いた姿勢で眠ると頚部が圧迫されて気道が塞がるため、いびきをかきやすくなります。したがって仰向けで寝る人は、腰の部分がへこんでいる古いベッドマットや、高すぎる枕はよくありません。また、バンザイをするように手を上げて寝るくせのある人も、同じ理由からいびきをかきやすくなります。
いびきを防止するには、横向きの姿勢で寝るとかなり効果的で、これは睡眠時無呼吸症候群の人にも有効です。

口呼吸のクセがある人、口を開けて寝る人

口を閉じているときに比べて開けているときのほうが気道が狭くなるという報告があります。また、睡眠時呼吸障害のある人は、眠っているときに口呼吸をしている割合が高いとも報告されています。風邪を引いて鼻が詰まっているときなどは、誰でも口で呼吸することがありますが、ふだんから口呼吸のクセがある人や、口を開けて眠る習慣のある人は、いびきをかきやすいといえます。

いびきをかきやすいとき

次に、生活スタイルの面から、いびきの要因となるものをあげてみましょう。私たちがいびきをかきやすくなるのは次のような場合です。

体が疲れているときや、ストレスがたまっているとき

睡眠中は体の筋肉がゆるみます。軟口蓋や口蓋垂(のどちんこ) が垂れたり、舌根がのどの奥に沈み込むなどして上気道を塞ぐために、気道抵抗が大きくなります。加えて体が疲れていると、疲れをとるために無意識のうちに口で呼吸し、より多くの酸素を体内に取り入れようとします。
その相乗効果で軟口蓋などが激しく振動して大いびきをかきやすくなります。またストレスによって上気道の異常な感じが起こることがあります。そうなると分泌物がたくさん出たり、粘膜の乾燥・充血などが起こつて、いびきをかきやすくなります。

お酒や睡眠薬などを飲んだとき

アルコールや薬の影響で筋の緊張低下が促進され、上気道の狭窄が起こるうえ、必要な酸素量を確保しようと口で大きく呼吸するため、いびきをかきやすくなります。飲みすぎだけでなく食べすぎもよくありません。消化器官の疲労が全身過労につながるからです。また気道の充血や弛緩が起こって、呼吸のための気道の活動がうまくコントロールできなくなり、いびきをかく原因となります。

生活スタイルとは関係しませんが、次のような場合もいびきの要因となります。

老化による場合

歳をとるにしたがって呼吸筋を含めた筋の弛緩が進み、いびきをかきやすくなります。若いころにはいびきをかかなかったのに、歳をとってからかくようになったをよく聞きますが、老化もまたいびきの原因となりうるのです。

体に異常がある場合

空気の通り道(上気道)を狭くするような構造的な異常が鼻やのどにあると、いびきをかきやすくなります。たとえばのどにアデノイドがあったり、蓄膿症( 慢性副鼻腔炎)や肥厚性鼻炎などで鼻がつまつている場合などです。
いびきの原因となる上気道の疾患には、ほかにアレルギー性鼻炎や鼻中隔攣曲症、鼻茸、腫瘍、扁桃炎、口蓋扁桃肥大、咽頭炎、喉頭炎、口腔の炎症などがあげられます。
高血圧や心臓病、糖尿病などの持病があったり、浮腫や内分泌異常などがある場合もいびきをかきやすくなります。

肥満と老化は危ない兆候を含んでいる

いびきの要因のうち、危ない兆候を含んでいるのが「肥満に起因するいびき」です。というのも、いびきをかく人で太っている人は「睡眠時無呼吸」を起こしている確率がたいへん高く、肥満は睡眠時無呼吸症候群のきわめて重要な要因と考えられるからです。また「老化に起因するいびき」も、一時的にいびきをかくケースとは違って習慣性のいびきになりやすく、やがては「睡眠時呼吸障害」や「睡眠時無呼吸」を引き起こす可能性が高いといえます。
実際、「睡眠時無呼吸症候群」にかかる率は歳をとるとともに増えることが確認されています。アメリカでの数々の調査で、65歳以上の高齢者のおよそ20% 前後が「睡眠時無呼吸」を起こしていることが報告されており、日本における調査でも、高齢者ではきわめて高頻度に 眠時呼吸障害がみられるという結果が出ています。

これは60歳を過ぎると呼吸調節系の安定性が低下することが多いためです。最後の「体になんらかの異常がある場合」ですが、こうした疾患があることが原因でいびきをかく場合は、当然ながらまずその治療を最優先に行ってください。手術が必要な場合は、手術などで障害が取り除かれると、いびきも大幅に軽減されたり、治ることが多いのです。

いびきは酸素不足をもたらす

いびきをかく人は、血液中の酸素が30%前後少ない

いびきというのは「空気の通り道が狭まっているにもかかわらず、無理やり呼吸しようとするために起こる音」だといいました。
いびきをかく人は、酸素を体内に取り入れたり、炭酸ガスを排出したりという「換気機能」が十分に機能していないことになります。
とくに、大いびきを習慣的にかく人は、それだけ上気道の狭窄がひどいことが考えられ、体が慢性的な酸素不足に陥つている可能性があります。
いびきが体に負担をかけているというのはこのためなのです。
大いびきをかく人は、いびきをかかない人に比べて血液中の酸素の量が30% 前後も少なくなることもあるといわれています。

この睡眠中の酸素不足がもとで体のあらゆる機能にさまざまな悪影響を及ぼす病態を、専門的には「睡眠時呼吸障害」といいます。
睡眠時呼吸障害のなかには、最近よく耳にする「睡眠時無呼吸症候群」という病気も含まれます。
睡眠時無呼吸症候群というのは、上気道に何らかの障害があり、空気の通り道が極端に狭まっているために、睡眠中に呼吸が数十秒間も止まった状態を、一晩に何度もくり返すというショッキングな病気です。

この病気の人は、自分ではしっかり睡眠をとっているつもりでも、眠りが浅いため、朝起きると疲れが残っていたり、日中にいきなり猛烈な眠気に襲われたりします。自動車の遅転中に居眠りをしたり、会議で話している最中にいきなり眠り込むといった、ふつうの人から見ると信じられないような状態を起こすのです。

極端な場合には突然死することも

「無呼吸」とまではいかなくても、いびきによる体の酸素不足は、循環器系や呼吸器系にく悪影響をおよぼします。高血圧症をはじめ、心不全、不整脈、心筋梗塞をもたらし、極端な場合には突然死することさえあるのです。

また糖尿病にもかかりやすくなります。体内の酸素不足と二酸化炭素の増加は、血液の酸性化を促し、血中のブドウ糖の量をコントロールするインスリンというホルモンの分泌を抑えるからです。

酸素不足は、脳のはたらきにも大きく影響してきます。大いびきを習慣的にかく人は、日中、仕事や勉強においても集中力が低下しますし、それだけではなく、脳梗塞や脳卒中への道を知らずしらずにたどっているともいえるのです。このように、いびきは体に大きな負担をかけ、さまざまな病気をもたらす原因になります。もちろん、ふだんいびきをかかない人でも、お酒をたくさん飲んだときや、ひどく疲れたときなどにいびきをかくことはよくあることです。あるいはいびきをかく人でも軽いいびきであれば、さしあたつてはそれほど気にする必要はないでしょう。けれども、ひど
心配はないでしょう。大いびきを毎日習慣的にかく人は要洋意です。