自分のいびきを録音して診察してもらうといい
覚醒時の患者さんを診察して、著しい異常所見が認められれば睡眠時の無呼吸の有無を推測することもできますが、軽い狭窄だったり、診察では狭窄が見つからない場合、患者さんのいびきの音が、狭窄部位を診断したり手術を行うかどうかを決定する手がかりになることがあります。
たとえば、軟口蓋などが振動して起こるいびきは音が高く、舌根沈下や口蓋扁桃肥大などが原因で狭窄をきたして起こるいびきは音が低いという特徴があり、いびきの音を分析することで睡眠時無呼吸の有無や狭窄部位を探るわけです。ですから、いびきの悩みや無呼吸の問題で訪れた人には、自分のいびきを録音したテープを持ってきていただくことも診断の役に立ちます。
PCを使ってさらに詳細に
もっと本格的に、コンピュータを使って詳しく音響分析する方法もあります。かつては大がかりなシステムを用いて行っていましたが、最近ではパソコンを使って簡便に音響分析を行うことができます。
この場合、睡眠薬を服用してもらい、睡眠時のいびきを録音して、基本となる周波数や、その変動の様子、いびきの長さや間隔、音の強弱などを調べます。音源となる頻度がもつとも高い軟口蓋の基本周波数は20~200ヘルツ、声帯がいびきの音源になっている場合は210~300ヘルツ、喉頭蓋が音源となる振動型いびきでは45~90ヘルツと低い周波数を示すことが多いといわれています。ちなみにコントラバスのもつとも低い音が40ヘルツですから、いびきの音のなかにはずいぶんと低い音のものがあることがわかります。いびきを録音することはご家庭でも簡単にできますから、ぜひやってみて自分がどんないびきをかいているか聞いてみてください。
いびきを録音する際は、マイクやラジカセを枕元から30~40cmほど離しておきます。録音レベルは中くらいがいいでしょう。いびきを大きくとろうとして、あまり録音レベルを上げすぎると、まわりの雑音も大きく録音されてしまうため、いびきの音が明瞭に聞こえなくなります。
いびき音の分類も参考になる診断材料です。