高齢者の診断基準と重症度の判定

加齢により睡眠時無呼暇を起こす割合は高くなる

睡眠時無呼吸症候群の診断基準は「ひと晩の睡眠(7時間) で、10秒以上続く無呼吸(低呼吸も含める考え方もあります) が、30回以上ある場合、または一時間あたりの無呼吸数が5回以上ある場合」です。

けれども、この診断基準を提唱した博士が高齢者を含まない対象での研究をもとに基準を設定したため、こと高齢者においては基準を考え直す必要があるのではないかという指摘も最近ではなされています。
というのも、その後の研究で、加齢とともに睡眠時無呼吸症候群を発症する率が高いことと合わせて、睡眠障害や循環器系の疾患がない人でも、加齢とともに睡眠時無呼吸を起こす率が高くなることがわかつてきたからです。

重症度の評価は、いまも検討が重ねられている

こうした要素を考慮に入れて、1986年にはより厳密に「異常ないびきや昼間の傾眠傾向をともなう睡眠時の閉塞型、または混合型の無呼吸により、潜在的に生命の危険をともなう状態、老人を除いて7時間の睡眠中に30回以上の呼吸停止をともなう状態」と細かく定義されるようになりました。

また、最近では1時間あたりの無呼吸数と低呼吸数が10回~15五回以上を睡眠時無呼吸症候群の診断基準として採用しているところもあります。
このように睡眠時無呼吸症候群の診断基準は、その評価法が検討されている過程にあります。睡眠時無呼吸症候群の重症度の判定についても同様で、いろいろな評価法が検討されています。たとえば睡眠中の1時間あたりの無呼吸数と低呼吸数を評価のものさしにして、軽度10~39回まで、中等度40~79回まで、重度80回以上とする分類。これに血液中の酸素飽和度を組み合わせた評価法で、次のような分類もあります。

  • 軽度
    最低酸素飽和度が85% 以上で、1一時間あたりの無呼吸数と低呼吸数が330回以下のもの。昼間の居眠り傾向はなし。
  • 中等度
    最低酸素飽和度が75%~84% で、1時間あたりの無呼吸数と低呼吸数が30回以上。昼間の居眠り傾向が認められるもの。
  • 重度
    最低酸素飽和度が51%~74% 。
  • 最重度
    最低酸素飽和度が51% 以下、または、1時間あたりの無呼吸数と低呼吸数が60回以上、または不整脈などの心臓の症状があるもの。

話が少し専門的になってしまいましたが、睡眠時無呼吸症候群の軽症、重症の度合いについて、おおよそイメージできたのではないでしょうか。医療の現場では、ここにあげた睡眠中の無呼吸の回数や持続時間、どの程度酸素飽和度が低下しているかといったほかにも、不整脈の有無、昼間の呼吸不全、心不全徴候、血栓性疾患などの有無を参考にして、患者さんの危険の程度を推定しているのです。

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