睡眠時無呼吸の診断 その2「鼻やのど、舌のかたちをみる」

鼻が正常に通っているかををみる

こうした問診に続いて、いびきや無呼吸の原因となる上気道の狭窄があるかどうか、鼻や咽頭、喉頭を視診します。

まず鼻ですが、いうまでもなく鼻の通り具合が睡眠中の呼吸に大きく影響してきます。起きているときには自覚症状はなくても、睡眠中に鼻腔の通気障害を起こして、呼吸障害につながることもあります。

診察では、鼻粘膜の色の具合や、慢性副鼻腔炎や鼻アレルギーによる粘膜に腫れがないかどうか、鼻腔の広さ、分泌物の有無や性状、鼻中隔の攣曲の程度(ほとんどの人は多かれ少なかれ鼻中隔は曲がっており、湾曲の具合がはなはだしく、呼吸障害などを引き起こしている場合を鼻柱隔湾曲症といいます)、鼻腔の広さや鼻腔内に鼻茸ができていないかどうかなどをポイントに観察していきます。

次に上咽頭ですが、ここはアデノイド肥大や上咽頭炎、上咽頭腫瘍などの病変を起こす部位です。後鼻鏡やファイバースコープで、上咽頭に腫れや腫瘍はないか、分泌物はどうか、上咽頭の広さはどうかなどを観察します。中咽頭や下咽頭は、睡眠時無呼吸症候群やいびきの原因部位である可能性がもつとも高いところです。
この場所に起きる病変としては、口蓋屈桃肥大や舌根屈桃肥大、巨舌症、中・下咽頭腫瘍などがあります。ここでは、粘膜が赤く腫れていないか、腫瘍はないかなどを観察するとともに、軟口蓋のかたちや舌の状態に異常はないかを観察します。

とくに前後の口蓋弓の間が水かきのように膜状になっていると、呼吸にともなう口腔内の圧力の変化や舌による圧迫で変形して、上気道の閉塞やいびきの音源となります。口蓋弓が後ろにあって、後鼻鏡で上咽頭が観察しにくい場合、すでにこの部分に狭窄が起こっていることを意味します。

口蓋垂の長さと幅も重要

また口蓋垂(のどちんこ) の長さや幅も、初診時のポイントになります。口蓋垂が舌に接触するほど長いと、呼吸時にこの口蓋垂を中心とした軟口蓋が舌根部と咽頭後壁の間に吸い込まれて気道を狭窄させたり、いびきの音源になつている可能性があります。これは鏡を使って簡単に確認できますので、ぜひチェックしてみてください。

舌の視診では、舌の大きさと形態を観察します。舌は体位などによって簡単に形態や大みきさが変化する部分なので、起きている患者さんの舌を診て、睡眠時の気道への影響を推察することは大変難しいのですが、舌の大きさによって気道の広さも決まってきますから、舌の視診が重要であることには変わりありません。ここで注意を要するのはあごが小さい人です。あごが小さい人は、通常の大きさの舌でも相対的には大きくなり、舌根沈下を起こして上気道閉塞を起こしている可能性が高くなります。
また持病に末端肥大症がある人は、巨舌症を合併していることが多く、視診も慎重に行われます。

舌も自分で簡単に観察することができるので、鏡の前で口を開けてチェックしてみるといいでしょう。舌が盛り上がつた感じに見える人、あるいは「アー」と発声しなければ喉の奥にある壁が見えない人は要注意です。

最後に喉頭の診察です。喉頭も上気道のなかで高い抵抗となる部位の1つで、喉頭蓋奇形や喉頭軟化症、喉頭蓋浮腫(むくみ)などの疾患があると呼吸障害を引き起こします。

オメガ喉頭の観察は喉頭鏡やファイバースコープを使って行われます。喉頭蓋が高度に脆弱だと、吸気のときに喉頭蓋が左右両側に密着したり喉頭にふたをした状態になって気道の閉塞をきたします。また、喉頭蓋に浮腫や腫瘍があつたり、舌根沈下によって喉頭を狭窄したり閉塞するケースも多く見られます。

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